
Kapito Japan株式会社
グローバル営業部マネージャー 内藤 剛嗣氏
Kapito Japan株式会社 グローバル営業部マネージャーの内藤剛嗣氏に、直接お話を伺いました。
AIを活用した中小規模事業者向け外観品質検査機を提供
Q御社の事業立ち上げ背景を教えてください。
弊社は2017年に台湾で設立し、創設者はシリコンバレーにて画像認識AIや大規模ソフトウェアアーキテクチャの領域で15年以上の経験を持つ2名と、半導体領域において20年以上の経験および研究実績を持つ弊社代表の計3名で立ち上げた会社です。現在は台湾・中国・日本市場をメインに展開しています。最初のお客様は、代表の友人でもあり台湾国内の製造業の方で、コンデンサーに使っているアルミ箔の品質に課題感を抱えていました。その助けとして、画像認識AIを活用した品質チェックの自動化および欠陥状態の識別をメインの機能として作られたのが弊社の「fastable AI」です。
Q御社の製品の強みとしてはどういったところがありますか。
大きく3つあると思っており、1つ目はAIを活用した品質・外観検査という領域では立ち上げが他社より早く、実績として長いという点です。創設期はAIそのものもまだ黎明期だったので、その時代から現在に至るまで学習させてきた情報量や事例の数についてはアドバンテージがあると思っています。2つ目は、外観検査といっても単純に品質のOK/NGが判別できるというものではなく、欠陥の種類や状態についても40~50分類ほどで仕分けて分析ができるという点です。これによって、欠陥の原因予測や生産ラインのリスク予測などに活用いただけると考えています。最後は、パッケージされた製品ではなく、各製造現場に合わせたパラメータの調整、CNNのファインチューニングなどが柔軟に可能という点です。
Qなぜ日本進出をお考えになったのでしょうか?
きっかけとしては、日本市場を狙ってアプローチしたからではなく、とある日系の企業様が弊社に興味を持っていただき、採択いただいて良いご反応をいただけたことが機会となりました。また、弊社代表は台湾人ですが、日本のものづくりの品質や理念に非常に感銘を受けており、ぜひ日本には進出したいというかねてよりの願いもあり、2024年に東京都からの支援も得て日本法人を立ち上げました。
Q現在抱えられている課題感はありますか?
海外発のいちスタートアップとして、日本国内での人脈づくりや事例創出には課題感があります。海外製ではありますが、マニュアルはもちろんUIなどの設計も日本での利用を加味してローカライズしており、かつ現場に合わせたカスタマイズを施すことが前提となっているので、利用いただければ良さを実感いただけると感じているのですが、ドアノックの部分でどう切り込んでいくかは最初の課題と感じています。
Qどういった協業先を今後探していきたいですか?
Roll to Rollのお客様で、特に大量のロット生産現場においての品質管理に最も役立てていただけると思います。従来のシステムだと結局後工程に人的な目視作業が発生していたところの工数削減や、人の目で検知できる限界がある細かな欠陥の識別に役立ったとご評価いただけることが多いです。一方、多品種を小ロットで生産している現場だと、効率化や品質精度向上の恩恵とコスト見合いが発生するケースもあると思うので、中小規模以上で一定数人の手が多くかかる生産現場のご担当者様に最も響くのではないかと思います。
Q日本の企業にメッセージをお願いいたします。
昨今様々なテクノロジーが台頭し、我々のようなスタートアップをはじめとした企業が国内外問わず技術を競い合っていますが、日本にはアナログかもしれないけれど世界的にも非常にレベルの高い希少な生産技術を持つ企業がたくさんあると思います。人手不足や競合技術の出現などで課題を抱えられている企業も少なくないと思いますが、今こそ日本のものづくりを弊社のAIのような新しい業界の時流も取り入れながら、伝統と革新を併せもって元気づけていきたいと考えています。
事例紹介
都内進出海外スタートアップ
×
都内企業
東京都千代田区丸の内3-8-3
Tokyo Innovation Base 2F イベントスペース(ROOM)