インタビュー

APGアジア準訳ジャパン株式会社

代表取締役 Mr. Roger Liu 氏

APGアジア準訳ジャパン株式会社 代表取締役の劉 君豪(Roger Liu)氏に、直接お話しを伺いました。

次世代トータルゲノム配列決定技術に基づいた
感染性病原体検査

Q御社のサービスを詳しく教えてください。

APGアジア準訳ジャパン株式会社(以下、APG社)は、メタゲノム次世代シークエンス(mNGS)を使ってDNAのゲノム配列を解読し、感染症検査を行うサービスを提供しています。従来、感染症検査は仮説をもとに行われますが、この方法では感染症の原因をすぐに特定できませんし、原因を特定できなければ治療も始められません。我々の技術は、医師が採取した検体をゲノム解析し、我々が持つデータベースと照らし合わせて病原体をすぐに特定することができます。一日に27,000以上の病原体を24時間で特定しています。

この技術は患者のみならず政府にも有益です。この技術を使ってすぐに感染症を特定できれば、入院日数を短くでき、また90日間の生存率も上がります。入院期間が短いということは、政府の医療予算を削減することができるのです。

台湾では4施設による多施設臨床試験を終了し、政府の認可を受けました。また、APG台湾本社は来年の第4四半期に株式上場をする予定です。現在、台湾の87%の医療機関が我々の検査サービスを利用しております。

Q東京に進出したのはいつでしょうか?

東京都から補助金を得て、2025年5月、東京に日本支社を設立しました。2025 SusHi Tech Challengeに参加し、日本での認知度も高まりました。コンサルタントや長崎大学、愛知医科大学などから医療業界に関するアドバイスを受け、厚生労働省とも連携することができました。また台湾からKOL(Key Opinion Leader)を招いて、我々の技術をどのように臨床で使えるか、日本の医師と意見交換を行いました。

Qこれまで、どのようなキャリアパスを歩まれましたでしょうか?

私は医科大学を卒業していますが専攻は栄養学でした。シークエンス技術が開発されたのは2007年で、2008年から私はこの事業に携わっております。

APGは私にとって2番目のスタートアップです。2012年に最初のスタートアップを立ち上げ、台湾の多くのライフサイエンス系研究機関にサービスを提供してきました。その中で、次世代シークエンスのコストが下がっていること、微生物研究に関する文献が急速に増えていることに気付きました。私共の技術は、臨床現場において、がんや出生前診断に次いで重要とされる感染症の病原体の検出に特化することにしました。技術が成熟し、コストが下がってきている2020年にAsia Pathogenomics社を台湾に設立いたしました。

Qなぜ日本進出をお考えになったのですか?

正直申し上げますと、まずは台湾での基盤をしっかりと築くことが最優先でした。このサービスは臨床試験や規制当局の承認が必要なため、製品のように簡単にグローバル展開できるものではないと考えています。きっかけは、とある企業から、日本にはまだ病原体の次世代シークエンス技術は浸透していないのではないかとお聞きしたことです。日本の臨床現場で我々の技術が使われることを願っていたこともあり、日本企業からのアドバイスは、私たちにより広い視野と希望を与てくれ、日本に進出を決めました。日本が最初の現地法人を設置した国になります。日本で成功すれば、世界のどこでも成功できると信じています。

Q日本進出にあたり、大変だったことは何でしょうか?

日本における現地法人設立に際しての課題は、台湾と日本で医療関連の規制体系が大きく異なることと、保険償還までに時間がかかるという点です。台湾と日本の医療制度はよく似ていますが、台湾では国民の約60%が民間の医療保険にも加入する一方、日本には全国民を対象とした国民健康保険制度があります。ですので、コンサルティング会社に依頼し、厚生労働省との協議に向けた規制対応の道筋を整えてもらっています。

Qどのような企業とマッチングしたいですか?

大規模な検査センターとのマッチングを望んでいます。なぜなら、日本の病院は台湾と違い、通常、検査を検査センターに外注するからです。

また、より多くの医療規制にくわしい専門家にもお会いしたいと思っています。現在、先進医療としての申請を準備しており、SaMD(医療機器プログラム)としての可能性も検討しています。最終的には、これらのデータを活用し、国民健康保険での償還の可能性を探るとともに、我々の技術を臨床現場に導入することを目指しています。

Q今後、どのように事業を展開されますか?

幸運なことに、当社は東京都の補助金を受け、日本国内に現地法人を設立することができました。今年はまず日本支社の中心メンバーをそろえ、日本市場のニーズに応えられるよう現地チームを早期に拡大していきたいと考えています。また、認可取得に向けて、いくつかの臨床試験の準備も進めております。

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