Bear Robotics Japan合同会社
代表 ヴィンセント・リー氏
ビジネスオペレーションマネージャー テリー・キム氏
Bear Robotics Japan合同会社 代表のヴィンセント・リー氏、ビジネスオペレーションマネージャーのテリー・キム氏に直接お話を伺いました。
外食産業における配膳や配送を行うロボットの開発、提供
Q御社設立のきっかけを教えてください。
Bear Robotics創業者のジョン・ハは、もともとGoogleでエンジニアとして勤務していました。サイドビジネスとしてレストラン経営を始めた際、現場スタッフの業務が非常に重労働であること、また人材の採用が困難であることに課題を感じました。
そこで、自身がコンピューターサイエンスの分野で博士号を取得した知識と経験を生かし、現場作業の自動化・効率化を目指して、配膳ロボットの開発に着手しました。
レストランにおける配膳や運搬といった単純で繰り返しの多い作業を人が担うのは、非常に大変です。こうした業務をロボットに任せることで、従業員の労働環境が改善され、その結果、お客様への接客やサービスにより多くの時間とエネルギーを注ぐことができると考えました。つまり、繰り返しの作業はロボットに、人間ならではの気配りや柔軟な対応が求められる顧客対応は人に任せることで、より質の高いサービスを提供できると確信したのです。
さらに、この取り組みが地域の外食産業を支えると同時に、深刻化する人手不足や高齢化といった社会課題への解決にもつながると考えました。
こうした思いから、2017年に米国シリコンバレーにて Bear Robotics社 を設立。日本法人は2024年に設立され、2025年7月より私、ヴィンセント・リー が日本法人の代表に就任いたしました。
Qなぜ、日本に進出しようと思われたのでしょうか?そして、なぜ東京を選ばれたのですか?
日本のホスピタリティ産業は、今や世界でも高い評価を受け、影響力を持つ存在となっています。しかし一方で、日本は急速に高齢化が進み、出生率の低下に伴う深刻な労働力不足に直面しています。そうした課題に対して、私たちの配膳ロボットが日本企業の成長を支える一助となればと考えています。
外国の方であれば、最初に東京を訪れるのが一般的ではないでしょうか。東京は国際的にも外国企業を積極的に受け入れている都市として広く認知されており、ソフトバンク社やLINE社といった、私たちに出資してくださっている企業も東京に本社を構えています。また、工場のある韓国からもアクセスが良く、非常に利便性の高い場所であることも、東京を選んだ大きな理由の一つです。
Q他社のロボットと比べて、御社の配膳ロボットの優れている点はどこでしょうか?
第一に、私たちの技術力です。当社のロボットは100%自社開発であり、安定性に優れているだけでなく、常に革新性を追求しています。第二に、安心・安全性です。安全面については、アメリカの厳格な安全基準をクリアしており、世界水準の信頼性を確保しています。
第三に、品質です。パートナーであるLGエレクトロニクス社と密に連携し、最高レベルの品質を維持しています。そして最後に、デザインです。当社のロボットはユニバーサルデザインを採用しており、あらゆる空間に自然に馴染むよう設計されています。
配膳ロボットServiは非常にコンパクトに設計されており、日本のレストランに多い狭い通路でもスムーズに走行することができます。すでに「焼肉きんぐ」や「びっくりドンキー」などの店舗でも導入が進んでいます。また、物流倉庫向けロボットCartiは、最大で600キログラムの荷物を運搬することが可能です。
Qどのような企業とのマッチングを望んでいますか?
私たちの製品をエンドユーザーへ届けてくれるテクノロジー系の流通企業との連携を希望しています。また、システムインテグレーションやSaaS(共有サービス)を提供している企業とも連携し、私たちのロボットをホスピタリティ産業や物流産業における課題解決の手段として活用していただきたいと考えています。
Q日本進出にあたって、どのような問題に直面しましたか?
日本ではすでに多くのロボットが導入されていますが、明確な安全規制が整備されていないのが現状です。弊社のロボットだけでも、すでに1,000台以上が導入されています。アメリカのように、安全基準を設け、その基準を満たした製品に対して証明書を発行するような制度が、日本でも必要ではないかと感じています。
また、人材採用にも課題があります。サポート体制を構築するためには、日本人、もしくは日本語で対応できる人材を採用したいと考えています。東京には優秀な人材が多くいますが、弊社はまだ規模が小さいため、採用面ではやや苦戦しているのが実情です。
Q今後の展望をお聞かせください。
Serviが日本で初めて紹介されてから、今年で5年が経ちました。弊社の主な市場はアメリカ、次いで韓国ですが、日本市場でも一定の認知を得られてきたと感じています。今後は、英国市場への進出を視野に入れ、さらなるグローバル展開を進めていく計画です。
Q日本企業にメッセージをお願いいたします。
日本は、戦略的に非常に重要な市場です。当社のロボットは、これまでホスピタリティ分野で5年間の実績を積み重ねてきました。今後は、物流分野での活用をさらに広げていきたいと考えており、そのために、物流システムの構築や導入をサポートしていただけるパートナー企業を探しています。
弊社とともに成長していただけるパートナー企業の皆さまと出会えることを心より願っております。
事例紹介
都内進出海外スタートアップ
×
都内企業
東京都千代田区丸の内3-8-3
Tokyo Innovation Base 2F イベントスペース(ROOM)